教育と平等―大衆教育社会はいかに生成したか (中公新書)



教育と平等―大衆教育社会はいかに生成したか (中公新書)
教育と平等―大衆教育社会はいかに生成したか (中公新書)

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機会の平等、結果の平等、面の平等、個の平等
学力テストは、教育の経済格差を明らかにしてくれた。このことは、
学力という「結果の平等」と教育の「機会の平等」という本来的役
割について広く知るいい機会になった。日本は、その昔、大正時代
から地方による教育格差を縮めるための政策を腐心してきた。学級
という面の平等を活用して、大義名分をつけてきた。学級の許容数
を決め、それ以上の数にならない限り、教師の数が増えない、数以
内であれば個々の子どもの質は問わない、貧しい理屈で教師を配当
している。
米国のように子ども一人増すごとに負担増による給与の増額する制
度とはほど遠い、なのに、教育内容だけ背伸びをし、ゆとり教育は
失敗に終わったと評価している。
日本においても、戦後まもなくは個の教育、つまり、子ども一人ひ
とりの教育を指向するのであるが、なにせ、地方にはお金はない教
師はいないなど条件が揃っていなかった。そしてここまで来た。
それなのに、義務教育の国の負担を2分の1から3分の1にした。
そのため、県によっては、3分の2の負担が苦しいため、文科省か
らの義務教育費の国庫負担を使い切らず、余すところが出てきた。
臨時などを使い、安い給料で働かすわけだが、任用の不安定な人的
配置では問題が出ない訳がない。
「平等」というキィワードから、日本の教育を紐解く、なかなか読
み応えのある良書である。

B
現在の問題よりも、歴史に重視をおいたもの。

学術的な価値はありそうだが、新書の読み物としては淡々としている。

静かな革命による「平等」の実現
「(教育)機会の平等」を実現するために、戦後、文部官僚は限られた教育資源(財政だけでなく、インフラそして教員も希少な限られた資源です)で地方間格差をどう埋めるかという困難に立ち向かった。もしも資源豊かであればアメリカのように、パーヘッド(生徒一人当たりの教育費)という個人単位で教育を組み立てられたが、現実の制限から、学級や学校、地域といった集団(これを「面の平等」と本書では呼んでいる)単位で教育問題に必死に取り組むことになった。国庫負担、教員の定数・配置、へき地振興法などといった諸制度を通じて、40年近くかけて「平等」をようやく実現した。教員一人当たり児童数(PT比)と児童生徒一人当たり教育費、財政力と児童生徒一人当たり教育費の相関関係が弱まっていく過程を通じてその論旨は完璧である。

皮肉なことは苦肉の策としての制度設計が、意図することなく累進的に働き「機会の平等」を実現しすぎ、「結果の平等」が実現されたとする誤謬を招いてしまったことだろう。こういったアンビバレンツの数々のなかで最大の皮肉と思われたのは地域間格差を把握し、下位者に手厚く対処するための「全国学力調査」がむしろ序列化を生むものとして機能した一面もあるということであろうか。

ただ、冷静に歴史を踏まえて現在の日本の公的教育を査定してみれば数々のアンビバレンツはあれど、十二分に批判に耐えるどころかその実現してきたものは賞賛されてしかるべき何かであるということがわかる。右にせよ、左にせよ教育改革を唱えるものは当著を読んで少しは頭を冷やしてもらいたい。




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